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「違いますっ。」
力強く否定したのは彼のほうだった。
あー…、ダメな男の子。
「同じクラスなだけです。」
3も静かに否定する。
ほら、傷ついちゃった。
「そうなんだ。ゴメンね。」
笑って誤魔化す。
「あ。じゃ、俺、あっちに行くね。」
彼は隣の車両を見て、行ってしまう。
あらら~。ダメな男の子…。
3は笑ってる。寂しそう。
「カッコいい子だね。」
「まぁ…、性格悪いですけど。」
「あはっ。」
それから静かだった。次の駅で彼が降り、3はホームを見ていた。
彼は少しも、一ミリも電車の中に目をやらなかった。
はぁ…。
ヒロは寝たフリをして電車に揺られる。
静か。
爆弾投下しないかな…。
3が自分を掴まえて電車から飛び降りないかな…。
3なら電車のドアをこじ開けれるんじゃないかな。
「ナオちゃん。」
ヒロはハッとして3を呼ぶ。
奈央は隣に座っていた。
「アルプス一万尺しよう。」
「はい…?」
ヒロは3の手を握る。
ぷに…。
気持ち悪いことばかり考えてる自分の隣で3は知らずにくだらないことで傷付いてる。
さっきの事で悲し過ぎて、ヒロに手を掴まれていることに恥ずかしがることを忘れてる。
「ナオちゃん、俺と付き合おうか。」
何となく、そうなったら面白そうだと思った。
3は彼を見返せる。
自分は…誰かの役に立つ。
俺をプライド守るために使っちゃえ。
3はビックリして手を引く。
何言ってるんだろうって眉間にシワを寄せて、驚いた顔でヒロを見る。
「どう?」
「……結構です。」
「なんだ。残念。」
つまんない。
次の日の帰りに3は電車に乗ってなかった。
あー…つまんない。
やっぱり。…皆死んじゃえ…。
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