平凡とマルボロ

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滅多に鳴る事のない休みの日の携帯が… しかも出る事のない非通知 だがその時は出た。 意味はない自然な成り行き 「もしもし?」 訝しげに… 受話器の向こうからか細い声 女性の声である事は判別出来た。 そして名乗る名前に聴き覚えが。 吉村雫38歳同じ会社の派遣社員であった。 話の内容は何か相談事という 「今から会えますか?」 特に話した事のない女性から の突然の申し出に躊躇 数秒間の無言 マルボロは根元まで燃え尽き 煙も出ない。 「明日会社で聞きますよ」 そう言うと彼女 「分かりました」と残念そう に「では明日お願いします」 と電話を切った。 しばしボーッと マルボロを持った手が熱い それで我に帰ると 灰皿に捨て新しいマルボロに 火を付けた。 不思議な一瞬
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