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―10:48 湊アクアランド
ボクたちはチームを分けて不審物捜索にあたることにした。
永瀬さんに連れられて来たのは、巨大な水槽がある水族館。
「うわぁ…おっきぃ!」
「お魚さんいっぱい!」
「楽しんで頂けてなによりです」
「あなたは?」
「私は湊アクアランドの支配人を任されている江成晋輔です。
皆さんのことは聞かされてます」
江成さんは辺りを気にするように見回して声を潜めて言った。
「調べてみましたが、この辺りに不審物はありませんでした」
「そうですか。じゃあ別の場所に移動してみましょうか――」
「ちょっと来てー!」
悠哉くんに呼ばれて、水槽の前に行くと腕を引っ張られた。
「ゆきとくん!見て見て!」
「なにを――」
ボクの視界に入って来たのは水槽から飛び出して来そうなくらいの迫力を持った白いクマだった。
「――白クマぁ!?」
「ホッキョクグマです。
皆さんを歓迎してるんですよ」
そうなのかな。
大きくてちょっと怖いけど…
「あの氷スゴいですね」
水槽の中には大きな氷が浮かんでいてクマさんも涼しそう。
見ている方も涼しくなってくる。
「あれは、特殊なカッターで氷を切断して浮かべているんです。
その方が、彼らもお客様も涼しく過ごせると思いますから。
そうだ…なんなら見てみます?」
「見るって…何を?」
「その特殊なカッターですよ」
関係者通路へ入って行った。
―――――――――――――――
3人が詰めている古い事務所の中…3人とも自分の取るべき行動を確認して打ち合わせをしている。
「太陽が湊アクアランドの真上に到達したら貴志が起爆スイッチを押してシンボルを爆破する。
それと合わせるようにして浜田がシステムを支配して各区画を遮断するために隔壁を出現させる。
混乱に乗じて俺が管制塔へ行き、湊清志郎を人質に取ればいい。
リヴァイアサンの完璧な計画だ」
「すでにシステムを手中に収めるためのウィルスは作ってある。
あとは、これを送り込むだけだ」
「たぶん、あいつらは犯行予告を間違った解釈してるだろうね。
この『太陽が真上に達する時』と『水上のシンボル』の意味を…
その意表をついて混乱させる。
さっすがリヴァイアサンだね!」
「ふん、当たり前だ」
なぜか丹波が誇らしげにした。
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