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幸人たちが立ち去ったのを見て、みなとくんは人影の少ない通路へ入り、古い建物に入った。
表の綺麗さとは裏腹の日陰の古い廃屋の中に入って行った。
「様子はどうだ?」
「子供に抱きつかれた」
「バレなかったろうな?」
「生地が分厚いせいか抱きついて来てもフワフワだからなぁ…
バレなかったと思うけどねぇ…」
男はみなとくんの着ぐるみを脱ぎハンガーにかけてイスに座った。
「……で、指示は?」
「待機していろってさ」
その部屋には、多くのモニターがあり、湊アクアランドの至る所を監視できるようになっている。
部屋の隅には、パソコンも置いてあり、そこにも一人いる。
「浜ちゃん、どう?」
「とりあえず、湊アクアランドのデータベースに侵入した。
これからウィルスを送り込んで、システムを掌握してみよう。
我らは選ばれたのだから…な?」
「…あぁ…俺たちは信者の中からリヴァイアサンに選ばれた。
あの方のために剣を振るい、降りかかる火の粉を払い除ける。
湊コンツェルンを…湊清志郎を…叩き潰すために集められた。
俺たちユーザーは仲間…同志だ」
「真面目だねぇ…」
「内海は違うのか?」
「僕は…ちょっと違うかな。
兄貴に反発したくて…なんとなくネットサーフィンしてたら…
あのサイトに行き着いた。
自分が何をしたいのかどこに行きたいのかを知りたいから…
僕はここにいるのかもしれない」
「そうか」
「来たぞ…指令だ」
リヴァイアサンを名乗る者からのメールがパソコンに届いた。
―――――――――――――――
湊アクアランドの管理棟に入り、モニタールームに通された。
「リヴァイアサン…ですか」
「そう…リヴァイアサンと名乗る人物から犯行予告がありまして…社長はイタズラだと仰っているのですが不安を感じまして…
皆さんに助けを求めました。
どうか、よろしくお願いします」
『10月12日の太陽が真上に達する時…水上のシンボルを爆破し、
これから始まる宴の合図とする』
「これが犯行予告か…」
「太陽が真上に達する時っていうことは真昼ってことですね」
「水上のシンボルって何だ?」
「分かりませんね」
この犯行予告に込められた意図と内容の意味するものとは何か…
僕たちは何も知らなかった。
この場所で何が起きているのか。
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