湊アクアランド

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湊アクアランドを回って不審物の捜索…それがボクたちの仕事。 「我々もこのモニタールームから随時監視を行っていますので、 不審物があれば、我々の方からも皆さんにお知らせします。 どうか…ご協力をお願いします」 「それでは参りましょう」 永瀬さんに連れられて、モニタールームから出て見回りへ… 内海さんは、その場に残った。 ――――――――――――――― 湊アクアランドが一望できるほど高い管制塔…その部屋では湊一家勢揃いで話し合いをしていた。 「まったく…馬鹿馬鹿しい! あんな物はただのイタズラだ!」 「……無視はできませんよ。 実際に犯行予告を無視して犯罪が起きてしまったことがあるので…警察も無視できないんです。 だから、ご協力をお願いします」 「安全のためなんです。 どうか落ち着いてください」 そこには、山寺と辻森…窓際には御門がいて下を見ている。 「まったく…いったい…なぜ私がこんな思いをしなければ…ッ」 「何か心当たりは…?」 「あるわけないだろう!!」 「ありすぎるんじゃない?」 「なんだと…!」 そこに優子が入って来た。 「優子さん…?」 「今回の湊アクアランドの一件もそうだけど…レジャー施設や遊園施設の建設に際して… 周辺住民から、反対されることが多いらしいじゃないですか。 中には無理やり工事を強行されて家を奪われた人もいたそうだし…まるでヤクザの仕事ね。 それがあなたの仕事なのかな?」 「言わせておけば…!私だって、したくてしているわけでは…!」 「じゃあ、どうして話を聞かずに無理やり工事を強行したの? あなたに優しさがあったなら周辺住民は喜んで協力したはずよ。 なのに…あなたは無理やり工事を強行してみんなを排斥した。 確かに…あなたは高い経営能力とカリスマ性があると思う。 だけど…それだけじゃ人は着いて来ない。誰もついて来ない。 優しさが無いとついて来ないの」 「――勝手なことを言うなッ!」 他人に言われなくても分かる。 自分自身の嫌な部分くらいは… 「何も知らないくせに…ッ。 私がどんな思いでここまで…」 自分が正しいとは思っていない。 それだけは確かに分かること。 「社長、お薬を…」 「あぁ…すまない」 内海は清志郎に薬を渡した。
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