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「ケン髪伸びたね」
洸兄の家、ソファで紅茶を飲みながらのんびりしていたら急に言われた一言
自分では良く分からないけど、最後に切ったのがいつか忘れたから、きっと伸びてるんだろうな
自分の毛を指で摘んで弄れば、クシャリと頭を撫でられた。
暖かい体温がじわりと広がる
「切ってあげようか?」
「え?」
俺は咄嗟に、お願いしますと呟いた
シャキ、と切る音が響く
形の良い、男らしいけど長く綺麗な指が毛を挟んで鋏で切る
自分のを切ってるだけあって上手い…どんだけ器用なんだ
心地良い、な…
「ケンの髪は柔らかいね」
「そう?」
「うん、気持ち良い」
後ろで笑う気配
照れるけど、嬉しくてこっちまで笑ってしまう
…なんか段々うとうとしてきた
暖かい日の光りと洸兄の手に、瞼が重くなる
「こーにぃの手、気持ち良いね…」
「ん―…?そう?」
小さくうん、って言って床に敷いた新聞紙に散らばる金色の毛を見る
洸兄は優しく微笑んで綺麗だねって褒めてくれた
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