◇ひだまりの願い事

2/3
前へ
/187ページ
次へ
「ケン髪伸びたね」 洸兄の家、ソファで紅茶を飲みながらのんびりしていたら急に言われた一言 自分では良く分からないけど、最後に切ったのがいつか忘れたから、きっと伸びてるんだろうな 自分の毛を指で摘んで弄れば、クシャリと頭を撫でられた。 暖かい体温がじわりと広がる 「切ってあげようか?」 「え?」 俺は咄嗟に、お願いしますと呟いた シャキ、と切る音が響く 形の良い、男らしいけど長く綺麗な指が毛を挟んで鋏で切る 自分のを切ってるだけあって上手い…どんだけ器用なんだ 心地良い、な… 「ケンの髪は柔らかいね」 「そう?」 「うん、気持ち良い」 後ろで笑う気配 照れるけど、嬉しくてこっちまで笑ってしまう …なんか段々うとうとしてきた 暖かい日の光りと洸兄の手に、瞼が重くなる 「こーにぃの手、気持ち良いね…」 「ん―…?そう?」 小さくうん、って言って床に敷いた新聞紙に散らばる金色の毛を見る 洸兄は優しく微笑んで綺麗だねって褒めてくれた
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加