50人が本棚に入れています
本棚に追加
ガリ、と口の中に放り込んだイチゴ味の飴玉を噛み砕く
いつものタバコはベッド脇に置かれた棚の上
禁煙を決意してから3日目、マスターに貰った飴の大袋もそろそろ少なくなってきた
禁煙って大変なんだな…なんて思いながらゴクンと砕けた飴を飲み込む
「はぁ、あ―…吸いたい」
吸いたいと思うも我慢だ、と叱咤する
ケンのためだと思えば堪えられる
そもそも何で禁煙しようと決意したのか、それはケンのためだったりする
それは3日前、遊びにきたケンにが煙りを吸って咳き込んでたから
そんなこと無かったから、少し驚いていれば、これが副流煙というやつかと考える
「俺、禁煙する」
「……えっ!?」
と言う訳で今に至る訳です…だってケンの健康には変えられないじゃない
でもなぁ…そろそろやばい
ケンにも会ってない
あぁイライラする
がしがしと髪を掻いて盛大な溜め息を一つ
日差しは高く空はムカつく程青かった
ぼんやりとしていれば、ピンポーンとチャイムが鳴る
誰だと思いながら無視もできずドアを開ける
「洸兄っ」
「ケン…?」
花に負けない可愛い笑顔で立っていたのは、愛しの恋人だった
キョトンとしながら名前を呼べば、会えなかった3日間が長く思う程にケンが欲しいと思った
「ケン」
「え、何……わっ」
余裕の無い声だったかもしんないけど、そんなことお構いなしに腕を掴んで引き寄せて、寝室に向かう
驚いた声が聞こえたけど、ごめんねと心の中で呟いて、強く強く抱き締める
「こっ…洸兄!?本当にどうしたの?」
「ん―…、ちょっとケンを補充しようかと」
「?」
頭に鼻先を埋めて、匂いを嗅ぐ
本当に良い匂いだな…飾らないそのままのケンの匂いだ
でも少し、やっぱり口寂しいと思う
そして目の前にはケン
考えるより身体が動いた
最初のコメントを投稿しよう!