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ギシリ、とベッドが軋む
何度目かになるか分からない情事に慣れる筈もなく、賢吾は甘い声を紡ぎ
恋人の甘い声に、乱れた姿に酔うように笑みを零しながら、洸は欲を打ちつけていった―…
「――…んっ」
情の後、ピクリと小さく身動ぎ睫毛を揺らしながらゆっくり目を開けたのは賢吾で、目を擦りながら隣りを見れば洸はまだ寝ていた。
「わ…珍しい…」
驚きつつ呟いてゆっくり起き上がる。
実際先に目覚めるのはいつも洸だった。
本人が一番驚いていてはここぞとばかりに愛しい人の寝顔を見つめる。
「…可愛い」
スヤスヤと寝息を立てながら寝る洸はどこかあどけなく、賢吾はフワリと笑みを零す。
起こさないようにゆっくり動き2枚あるうちの1枚を身に纏いベッドから降りる。
ペタリと窓際に行き窓から見える月を見上げる。その姿は差し込む月の光りを浴びているようで、儚げに映る。
「綺麗だな…」
ボソリ、と呟いた。
「何が?」
「!?」
瞬間、後ろから腕が伸びてきた。
気付いた時にはもう抱き締められていて、驚きに後ろを振り返る。
大好きな温もりは、何よりも大好きな人
優しく微笑んで、覗き込むように見つめている
「洸兄」
「何が綺麗なの?」
ほんのり桜色に染まった頬に軽く口付けて、もう一度質問をする。
照れながら前を向き窓を見上げ、答えるために口を開ける。
「月がね、優しく光って綺麗だなって」
「ん~…そだね、綺麗かも」
言われて見上げれば同感するも「けど」、と付け足し。
「?」
「ケンには負ける」
抱き締めながらクシャリと金髪を撫でて、ね?と微笑んではこめかみにキスを一つ。
それを理解すれば途端真っ赤に染まる顔。
「なっ…なっ……!」
クスクスと微笑みながら抱き上げて、再びベッドに移動する。さて、どうしようか?この可愛い恋人を
優しく光る月、それはまるで君のように
(うぅん、やっぱり君には勝てないのさ!)
+END+
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