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愛しい人は電話中で、とても楽しそうに笑うから
なんだかつまらなくて、ソファに膝を抱えてジッとそれを見る
寂しいとか、ヒマだとかとにかくそんな感情しかなくて、その背中を見るだけ
「はいはい、そんじゃまた」
ピッと、やっときった携帯をポケットにしまいハタと目が合った
思わずムスッとした顔でプイとそっぽを向いてしまう
本当に子供だ…こんなの…
でも
近くでクスリと笑う声が聞こえて
「ケン」
呼ばれて、思わず振り向くととても優しい顔で声でフワリと両腕を広げ
「おいで」
なんて、それはもうとびきり甘く笑いかけるから…
迷いなんて、そんなもの
「洸兄っ…」
ポスンと思い切り胸へ飛び込んでギュゥッと抱き着いて、洸兄は答えるようにギュッと強く優しく抱き締めてくれた
「ごめんな、1人にさせて」
「ん、寂しかったけど…許す」
クスクスと笑う声、これだけで許せる俺も甘いのかな
でも…やっぱ嬉しいのだから、仕方無い
クシャリと髪を撫でられて、スリと擦り寄り
「ケン」
「ん?」
再び呼ばれて顔を上げればチュッと音を立て唇が触れた
さっきの分もうんと甘やかしてあげる
だから、そんな顔してないでこっちにおいで
(それだけで、安心するの)
+END+
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