9人が本棚に入れています
本棚に追加
ヒカリの問いに、青年は数秒間沈黙した。ヒカリの瞳に、やや剣呑な光が宿った。
「用が無いなら、話し掛けないでくれませんか」
ヒカリはつっけんどんに言い放った。その素っ気ない態度に、青年は思案するように俯いた。他人に対するこの冷たい対応は、ヒカリの防御のための手段だった。なるべく他人とかかわらないための。だから、ヒカリは会社でもほとんどの時間一人だ。生きていく上で必要以上に傷つきたくなければ、自分から進んで孤独になればいいのだ。
ヒカリが青年に対し、背を向けようとした時、青年が言った。
「話し掛けたい、という用事があります」
最初のコメントを投稿しよう!