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アーチャー…なのはさんが落ち着くまで、しばし待つ事5分。
「色くん…約束、守る気ないでしょ?」
「――――」
か、開口一番がそれか…。
まぁ確かに危ない真似はしないと約束したが、今回はどうしても必要な行動だった訳で。
それをなのはさんに訴えようにも聞いてくれるとは思えない…と言うか。
「ひゃんでほへはほほほふははへふふんへふは?(何で俺は頬を抓られてるんですか?)」
「私に心配かけた罰だよ。それと約束破ったお仕置きかな」
「いひゃいいひゃい!(痛い痛い!)」
ジト目で睨み付けながら、尚も俺の両頬を摘み上げるなのはさん。しかし、それもすぐに解放される。そして…。
「やっぱり…色くん、体の感覚がないでしょ」
――ドクンッ…!
踏み込まれたくない領域に、彼女は踏み込んで来た。
…いや、そもそも何故見抜かれた?
「なに言ってんのさ。そんな訳…」
「気付いてないなら教えるけど…私ね?さっき頬を抓りながら君の足の怪我を圧迫してたんだよ?」
「ッ…!」
「色くん…冗談っぽく痛い、ってさっき言ったよね?でも、本当なら激痛でそれどころじゃないはずだよ」
…しまった。そう思ったがもう遅い。
感覚がない事がこんな形で裏目に出るとは思わなかった。
いや、それよりも驚愕するべきは彼女の決断力か。
感覚がないという前提で人の怪我を圧迫するなど普通は出来ない。
…その人の痛みを想像してしまうからだ。だが、彼女はそれをやってのけた。
「ちなみに、これ以上誤魔化したり下手な言い訳したら収束魔法で色くんの大切な部分を撃っちゃうよ♪」
こ、こえぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!
シリアスムードなんてどこ吹く風。
つーか笑顔で何て事を言いやがるんだこの人!
「だ、大事な部分とは…?」
「顔が赤くなってるけど……少なくとも色くんが考えてるような部分じゃないと思うなぁ」
「で、ですよねぇ~…」
「もう~お年頃なのはわかるけどエッチなのは駄目だよ?」
笑顔で杖の穂先を俺の顔に向けてくるなのはさんに口答え出来る勇気など俺にはない。
結局、俺は穂先を向けられたまま、なのはさんに洗いざらい話さなければならなくなったのだった…。
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