第二章~召喚~

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「なら、イリヤスフィールに聞く」 「なんだって…?」 「祖母さんは話したくないんだろ?だったら、イリヤスフィールに聞くしかない」 そう。 イリヤスフィールは俺に何かを呼び出したのか?と聞いてきた。 そして、それを祖母さんに伝えたらこの状況になったのだ。 ならばイリヤスフィールに話を聞けばいい。 祖母さんの言った通りに知らなきゃよかったと後悔するかもしれないが……何も知らないよりは遥かにマシだ。 「色!あたしはあんたの為を思って…」 「そうだろうな。祖母さんがそこまで頑なに話そうとしないんだ……よっぽど質の悪い内容なんだろうさ」 「だったら…!」 「魔術師とは常に死と隣り合わせである」 「………」 「あんたの言葉だ。……俺にだって、その程度の覚悟はとうに出来てる」 そう、例え後悔してもいい。 魔術師として生きてきて、魔術師として今ここにいる。 これから歩んでいく道は魔術師とは関係なくなるとしても、今の俺は紛れもなく衛宮の魔術師なのだ。 ……その覚悟が伝わったのか…。 「あれは60年前…」 ポツリと、祖母さんが話を始めた。 その話を纏めると、こうだ。 60年前、祖母さんと祖父さんは聖杯戦争という儀式に参加していたらしい。 聖杯とはあらゆる願いを叶える願望器のことで、またの名を万能の釜という魔具のことだ。 そして聖杯戦争とは、願望器たる聖杯を巡った魔術師同士の殺し合いであり…。 祖母さんと祖父さんは、前回の聖杯戦争の勝利者なのだそうだ。 「なら、願いを叶えたのか?」 「いや……私たちは聖杯を壊したわ」 「……なんでさ?」 「本来、聖杯に満ちているのは無色の力なんだ。だけど、前々回の聖杯戦争の折、違反者が出たらしくてな」 「本来、聖杯戦争にはサーヴァントと呼ばれる英霊が7体、儀式に参加した魔術師のパートナーとして召喚されます。セイバー、ランサー、アーチャー、ライダー、キャスター、バーサーカー、アサシンのサーヴァントです」 「だけど、その違反者は有り得ないサーヴァント……アヴェンジャー(復讐者)のサーヴァントを呼び出してしまった」 「アヴェンジャー?」
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