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「原理?」
それは、なんの原理のことなのか。
だが、イリヤスフィールは俺の疑問に答えず、驚いた様子で、
「…呆れた。シロウもリンも、聖杯戦争についてシキには何も教えてないのね」
半ば侮蔑すら籠もった視線を祖父母へと向けた。
しかしそれも一瞬。
イリヤスフィールはすぐに表情を崩し、俺に向き合う。
そもそも冬木の聖杯っていうのは、オリジナルとは違う紛い物なのよ。まぁ、願いを叶える…という事実はあるからオリジナルとほぼ同等の効果はあるけど…」
「?…聖杯ってのはいくつもあるもんなのか?」
「その殆どが偽物だけどね。でも冬木の聖杯戦争は他の聖杯戦争と違う点が一つだけあるの」
「……サーヴァント?とかいう使い魔か?」
「正解!シキは察しがいいんだね♪」
なんて本当に嬉しそうな表情をすると…。
なんとイリヤスフィールは俺に飛びついてきたのだ。
首に腕を回され、柔らかく抱き寄せられる俺。
「!!!?」
訳が分からない。
何だって俺は今日会ったばかりの少女に抱き締められているのか?
だっていうのにイリヤは笑顔のまま…。
「ふふ、見事正解したシキにはご褒美だよ♪」
なるほど。ご褒美ときたか。
たしかに、イリヤスフィールほどの超絶美少女に抱き締められて喜ばない男はいないだろう。
……だが今は困る。
何で困るのかって、セイバーからの視線が痛すぎるから。
「イリヤスフィール…」
低く。地の底から響いてきたかのような声は、まるで幻想種最強である竜種を前にしたかのような絶望感を与えてきた。
……ブリテンの赤き竜。
アーサー王の二つ名は伊達ではない。
「3秒だけ猶予を与えましょう………選びなさい。シキから離れるか、それとも」
セイバーの手が動く。
そこに握られているのは黄金の輝きを放つ、一振りの剣だった。
聖剣エクスカリバー。
聖剣のカテゴリー内では最強クラスの宝具が、彼女の感情とリンクして尚輝きを放った。
「ここで我が剣の錆となるかをなぁッ!!」
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