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第三章~弓兵~
「サーヴァント……アーチャー…?」
「そうだよ。令呪はちゃんとあるよね?」
「え?…令呪って…」
それは、祖父さん達からは何も聞かされていない物だ。
聖杯戦争の概要。サーヴァント。
それらに関しては教えてもらったが、令呪なんて単語は初めて聞く…。
だが、アーチャーは俺のそばまで来ると、いきなり左腕の袖を捲くし上げた。
そこにあったのは、痣のような何か…?
「うん、ちゃんとあるみたいだね」
「これが……令呪?」
「あれ?もしかして知らない?」
彼女の問いに頷いて答える。
すると、彼女は少し考える素振りを見せて…。
「まぁ、それは後で教えてあげるとして…」
突然、蔵の外へと視線を投げた。
「他にもサーヴァントがいる。…ちょっと待っててね」
「ぇ、おい…!」
言うが早いか、アーチャーは蔵から出て行ってしまう。
おそらく……というか確実に、彼女が言ってたのはセイバーの事だ。
つまり、アーチャーとセイバーが戦うという事なのか…?
「ふざ……けんな…!」
…そんなのは許さない。
聖杯戦争とか関係なく……俺の目が届く場所で、ましてや俺の家族と戦うなんてのは許さない。
なんとか歩こうと力を入れるが…。
「づっ…!」
思うように体が動いてくれない。
それでも、前へ。
ゆっくりでもいい。前へ進んだ…。
何度も転びそうになりながらも、ようやく蔵の外へと出た瞬間…。
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