第三章~弓兵~

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聞こえてきた詠唱は、聞き覚えのある物だった。 ――体は剣で出来ている。と…。 それは、生涯を剣として生きた者が手に入れた、ただ一つの確かな答え。 自らを表す呪文に自らを律する韻を持たせた呪文が具現させるのは…。 「ロー・アイアスッ!!」 【熾天覆う七つの円環】 ――七枚の花弁。 その花弁が壁となり、セイバーを守護せんと――眼前に展開される。 その一枚一枚は古の城壁に匹敵する。 誰が知ろう、この守りこそアイアス。かつてトロイヤ戦争において唯一神槍(グングニル)の投擲を防いだ楯。 射手から放たれた物に対しては絶対の効果を持つアイアスの楯である。 当然、アイアスは魔王の一撃を熱風と残骸を撒き散らしながらも押し留める。その中で…。 「はぁぁぁ…」 纏っていた風を撒き散らしながら、黄金の輝きを放ち始めた一振りの聖剣。 エクスカリバー。 その様は、まるで真名が展開されるのを、今か今かと待ちわびるようでもあり…。 「宝具…!?」 「……小柄と侮ったな。私の二つ名はブリテンの赤き竜…。いかに体格で劣ろうとも、魔力の猛りで貴女に劣る事はない…!」 振り上げられる聖剣。 セイバーは、眼前のサーヴァントを完全な敵性と見なしたか……真っ直ぐにアーチャーを見据えて。 「エクス…!」 【約束された】 その猛る魔力を解放させた――! 「カリバァァァッ!!」 【勝利の剣――!】 それは、究極の斬撃だった。 収束した光は、アーチャーのそれを遥かに上回る魔力を以て、アイアスごと吹き飛ばし、アーチャーへと殺到する。 咄嗟に右に飛んだアーチャーだったが…。 全てを切り裂く黄金の帯は、その守りごと彼女の左腕を掠り。――結果、アーチャーは壁まで吹き飛ばされたのだった。
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