第三章~弓兵~

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「アーチャー」 祖父さんに肩を貸されながら、セイバーがこちらに歩み寄ってくる。 既に、アーチャーに戦う力は残っていないことを察してか、セイバーの目からは敵意がなくなっていた…。 「貴女はシキが召喚したサーヴァントでしょう?」 「…そうだね。そういうことになるかな」 「ならば剣を収めなさい。私は今回の聖杯戦争には関わりのないサーヴァントですし、私にはシキに危害を加える意思はない」 「でも、それを信じろ…っていうのは難しいんじゃないかな?」 「なぜです?」 「私が緊急で召喚された…っていうことは、マスター候補だった彼に生命の危険が迫ってたっていう意味なんだよ?」 その危害を加えたのは、間違いなく貴女でしょう?と、アーチャーは目で訴える。 とはいえ、もはやアーチャーに戦う力は残されていないのは明らかだ。 そもそも五体満足でいることの方が奇跡に近いのだから…。 だっていうのに、アーチャーは右腕だけで長杖を構え、その穂先をセイバーに向けている。 その時…。 『守ってみせる……今度こそ』 アーチャーから、そんな声が聞こえたような気がしたのは、果たして幻聴なのだろうか? 「……わかりました」 「セイバー?」 静かに、セイバーは一言だけそう答えて不可視の剣を収めた。 「ならばまず武器を引きなさい。戦うばかりではなんの解決にもなりません……それに」 言葉を区切り、深く目を閉じると、セイバーは頬を染めながら。 「……お腹が空きました」 なんとも場違いな…しかしセイバーらしい発言をしたのだった。
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