第三章~弓兵~

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――ゾクッ…! 感じたのは悪寒。 真っ暗になり、視界が確保出来ないせいか、やけにその他の感覚器官が鋭敏になっているのか…? いや、それだけじゃない。 まるで叩きつけられるような殺気は、間違いない…。 「サーヴァント…!」 反応したのは、2人のサーヴァントが早かった。 セイバーは居間の入り口に立ち、アーチャーは俺達を庇うように後方で構える。 「アーチャー、貴女はまだ傷が癒えていない。無理はしないよう」 「うん。セイバーも疲れてるんだから、あんまり無茶しちゃ駄目だよ」 「……無茶はしますが、無理はしません。――シロウ達はアーチャーより前には出ないように」 そう言うが早いかセイバーは音もなく不可視となった聖剣の柄を握り…。 「来ます…!」 ――ガタンッ! 障子を破って侵入してきたのは、5体の人形だった。 とはいえ、精巧な物など一つもない。 それらは全て、人の形を模しただけの三流………それを。 「ハッ!」 一撃。 たったの一振りで、セイバーは全て薙払っていた。 「これ、キャスターのサーヴァントかな…」 「魔術師のサーヴァント…だっけ?」 「そうだね。キャスターのサーヴァントはこうして戦う人もいるから」 断定は出来ないけど…とアーチャーは呟き、俺に視線を向けた。 「回復してくれるかな?…いまいち左腕が動かなくて」 「え…回復って俺がか?」 「そう。ハスは通ってる筈だから、後は魔力を流してくれればいいよ」 「そんなこと急に言われても…!」 答える間にも、人形は次々に押し寄せてくる。 それは、既にセイバー独りでは対処しきれないレベル。 「このままじゃ一気に畳み掛けられる。そうなったら、私達は大丈夫かもしれないけどマスター達は無事じゃあいられないよ!」 「くそ…!」 アーチャーの叱咤に、最速で自己の裡に没頭する。 魔術回路の中にそのハスがあるはずだ。 探せ探せ探せ探せ探せ探せ――! 第一集合回路、なし。 第二集合回路、なし。 第三集合回路……発見。 それは、どこかと繋がっている回路だった。おそらく、その先にあるのは…。
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