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エーデルフェルト…。
祖母さんやイリヤの話では、俺を殺す為に聖杯戦争に参加したらしいが。
「ふ~ん…冴えない男ですわね」
「なっ…!?」
いきなり失礼な事を言われてしまった…。
というか、初対面の人間に対して冴えないとは失礼極まりないんじゃなかろーか?
いや、まぁあながち間違いではないのだが…。
もとい……彼女がエーデルフェルトの人間ならば、聞きたいことがある。
「……で、俺になんの用だ?」
「決まってますわ。遠坂は我がエーデルフェルトの宿敵……その孫である貴方を打倒するのです!」
声高に宣言するエーデルフェルト嬢。
背後から紙吹雪でも舞い上がりそうな勢いのある彼女だが……俺は対照的に憂鬱だった。
あ~…やっぱりなぁ。
そうじゃないかって思ったんだよなぁ~。
なんて一人で頭を抱えて、軽く痛む頭を撫でる。
もっとも、彼女はそんな俺など目にも止めずに…。
「さぁ、サーヴァントを出しなさいエミヤ!この場で貴方を再起不能にして差し上げますわ!」
一人の幼い少年を、己の背後に顕現させた。
「一人で盛り上がってんじゃねーよ……ったく」
見た目はあんなだが、おそらく、あれがエーデルフェルトのサーヴァント。
その手に持つ槍は、つまりランサーのサーヴァントということだ。
だが、戦おうにも、今こちらにはアーチャーがいない。
まさかまだ寝てるんだろーか?
どうしたもんか…と思考を巡らせ始めた瞬間。
「来なさい、バーサーカー」
今まで傍観を決め込んでいたイリヤが、自身のサーヴァントを召喚したのだった。
「イリヤ…?」
「シキはやらせないよ。だって…」
そこで一旦言葉を区切り、イリヤは…。
――シキは私が殺すんだから…。
なんて、異常なまでに淫靡な笑顔を以て、そう言ったのだ。
その表情に思わず、背筋が震え、体中の毛穴が開いた感覚に襲われる…。
いや、それよりも……なぜ俺は今、“イリヤになら殺されてもいい”なんて考えたのか。
「そう……あくまで邪魔をするのですね?」
「そうよ。まぁ、そんな貧弱そうなサーヴァントじゃあ私のバーサーカーには勝てないでしょうけど」
ランサーとバーサーカーの戦い。
理性を失ったバーサーカーはともかく、ランサーも言葉なく、眼前の敵を凝視していた。
そして……。
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