第四章~君のいる日常~

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「ストラーダッ!」 《Explosion!》 ランサーのかけ声に次ぎ、彼の持つ槍が何かを弾き出した。 ――薬莢…? 乾いた金属音を残し、地面に落ちたそれは薬莢のようだが…。 なぜ、槍から薬莢なんかが出てくるんだ? 「ガンランス…?…いや、違うわね。私のバーサーカーと同じで、宝具に内包した魔弾で一時的に魔力を増幅させてるのかしら?」 「バーサーカーと……同じ?」 「そうだよ。…バーサーカー!」 「マッハキャリバァァッ!!」 《All right buddy》 バーサーカーも、イリヤに応えてか腕に装備したホイールナックルから魔弾をロードし…。 「うおぉぉぉぉッ!!」 爆発的な加速で、一気にランサーへと向かっていく――! おそらく、バーサーカーは防御など毛ほども考えていないのだろう。 ただ、眼前の敵を打ち倒すのみ…とばかりに、ランサーへと肉薄し…。 「ハァァァァァァァァァァッ!!」 鉄塊をも砕く破砕の一撃を放った…! ――ガギィィィィィンッ!! 甲高く響く鉄の音と、バーサーカーの一撃を受け止めたランサーだったが……既にランサーは、大きな失態を犯している。 「く……っ…!」 「ウゥゥゥ…!」 それは、バーサーカーに初撃を許してしまったこと。 そしてなにより、バーサーカーの一撃を受け流せずに受け止めてしまった事だ。 狂戦士が狂戦士と呼ばれる由縁。 それは、理性を持たずに本能だけで戦うからに他ならない。 理性のない者が、一撃一撃に手心を加えるかと言えば、それは……。 「ゥォォォ………!」 少しずつ、防御するランサーごと自身の右腕を押し込んでいくバーサーカー。 そう。 バーサーカーは全てに全力なのだ。 だからこそ、体格で劣るランサーは彼女の一撃を流せず、ただ押し込まれる形で耐えるしかなくなっていた。 結果として残るのは…。 「ォォォォォォッ―――!!」 「くぅっ…!」 「ランサーッ!?」 バーサーカーの腕の一振りで数十メートルは軽々と弾き飛ばされるランサーだった…。
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