第四章~君のいる日常~

7/13
前へ
/68ページ
次へ
弾き飛ばされ、巻き上がる砂塵。 バーサーカーが放った先ほどの一撃…例え防げたとしても、おそらくランサーは致命傷を負っただろう。 何しろ鉄塊を砕かんばかりの一撃なのだ。 あんなものを受けて、無事なやつなど…。 そう思ったが、どうやら俺はサーヴァントという物を理解していなかったらしい。 少しづつ晴れていく砂塵。その中に、無傷で立つランサーが現れたのだから。 「なっ!?」 どれだけ頑丈なんだ…あいつ。 普通なら骨折は確定コースだぞ…! だが、ランサーは特にダメージを受けた風もなく、機械的な槍を構える。 それだけではない。 よく見れば、ランサーの持つ槍が雷を帯びているような…? 「ぐっ…!」 瞬間、走る頭痛と、流れ込んでくる知識。 …知っている。 俺は確かに、あの能力を知っている…。 魔力変換資質・電気。 なぜ、こんな知識を俺が持っているのか…いや、そもそも俺は何故。 「……エリ、オ…?」 「なっ…?」 何故、ランサーの真名を知っているのか…。 いや、ランサーだけではない。 バーサーカーの真名、アーチャーの真名……それすらも頭の中に浮かび上がってくる。 バーサーカー、スバル・ナカジマ。 アーチャー、高町 なのは。 何故だ…。 何故、俺が知らないような知識が次々と俺の中に流れてくる…!? バーサーカーの戦い方、宝具、その生い立ち。 同じく、アーチャーの戦い方、宝具、その生い立ち。 あらゆる情報が頭の中に流れ込んできた。 そのせいだろうか…。 「シキッ!」 「ぇ…?」 ランサーの閃光の如き接近に、気付いていなかった…。 だが、もう遅い。 既にランサーの槍は俺の心臓に狙いを定めているのだ。 仮に心臓への直撃を避けたとしても、槍が纏った雷が俺の体を焼くのは確実。 ――死ぬ…? そう知覚した。 そして瞬秒の後、ランサーの槍が俺の心臓を貫ぬき…。 まるでスローモーションのように、ゆっくりと俺は地面へ倒れ込んでいった。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

410人が本棚に入れています
本棚に追加