第四章~君のいる日常~

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倒れ伏せる。 胸に開いた風穴からは、とめどなく溢れ出る命(血液)。 なら死んだ。 もう間もなく、俺の出血が致死量に達し、心臓は止まり、脳も活動を止めるだろう。 「――ぁ…ご、ふッ…!」 どうやら肺も一緒にやられたか…。 器官からせり上がってくる血液を再び吐き出し、俺はゆっくりと目を閉じた。 ――アーチャー…。 すまないな。こんな…不甲斐ない、マスターで…。 叶うのならば、お前が…新しいマスターを、見つけられます…よう。 既に目は見えず、耳もその機能を停止。 近くにある気配は…おそらくはイリヤだろう。 なら、イリヤには悪いけど……後の、こ…とは…任せ……て…。 その思考を最後に…。 「シキ……?」 俺は意識を手放したのだった。 <<Another Veiw>> その瞬間…。 「シキ……?」 私の腕の中から、確かな温もりが消えて逝ったのを感じた…。 抱えていたシキの体から力は消え去り、まるで壊れた人形みたいに、ダラリと情けなく垂れ下がった腕と首…。 ――死んだ…? 誰が?<<シキガ>> 何で?<<殺サレタ>> 誰に?<<………>> 「ぁ……シ…キ…?」 …どうして死んじゃったの? 貴方を殺すのは私の役目だったんだよ…? 何がおかしいのか誰かが笑っている…。 耳を覆う高笑いは、世界中の人々の嘲笑のようでもあった。 ――これは、あの時と同じだ。 アインツベルンの城。 突然私の知らない、黄金のサーヴァントに襲われて、私のバーサーカーを殺されて…。 私も、殺された。 <<怖イ>> 目を一文字に切り裂かれ。 <<痛イ>> 背中を引き裂かれて。 <<誰カ>> 心臓を抉り出された…。 <<助ケテ…!>> そう、願ったのに…叶えられなかった。 だから、せめて誰も助けてくれないのなら、誰も近くにこないで欲しかったんだよ……シロウ? 「ッ!!!!」 「ウ…ゥゥ…!ウワアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!」
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