第五章~従者の存在価値~

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でも、それは出来ない。 アーチャーを助けると誓ったのだ。 例え、その果てで何かを失ったとしても……それだけは曲げられない。 『たった1人の為の正義の味方は辛いんだ…色』 祖父さんが昔俺に呟いた一言。 その言葉の意味を今更になって理解した。 ああ、落とす物が多すぎるんだ。 その1人の為に、全てを無くす……それはたしかに辛いことだよな。 だけど、それを突き通せたなら…意味はあると思うんだ。 だから…。 「…ありがとう……母さん」 「………………シ、キ…」 「でも俺は、アーチャーを助けたいんだ…だから、ごめんなさい…母さん」 「―――――!!」 前を見る。 少し休んだせいか、身体はすんなりと動いてくれた。 ――さぁ行こうか…色。 「シキッ!!」 「…The criminal that I am stupid.」 《…私 は 愚 か な 罪 人》 詠った。 万感の想いを込めて、これから裏切る人の為に…。
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