第六章~自身の在り方~

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色の世界がセイバーを浸食した時分。 彼のサーヴァントたるアーチャーもまた、その身を戦いに投じていた。 行く手を阻むのは魔術師。 流麗な双剣が、アーチャーを矢継ぎ早に攻め立てる――! 「く……アクセル!」 剣を押し留めながらアーチャーは思考を巡らせていた。 なぜサーヴァントたる自分が人間に足止めされているのか。 有り得ない。 如何に前回の聖杯戦争の勝者とて、あくまで人間レベルのはず。 にもかかわらず、眼前の敵は…! 「I am the bone of my sword.」 《体 は 剣 で 出 来 て い る》 詠唱。 その後に現れたのは、弓…? 剣士は弓を構えその手に螺旋剣を作り出した。 瞬秒の後、造り出した矢(剣)を弓の絃にかけ…。 「偽・螺旋剣Ⅱ…!!」 《カラドボルグ》 空間そのものをねじ切るかのような一矢が放たれる――! 対抗するため、アーチャーもまた己が魔力を収束させ…。 「ディバイン・バスタァァッ!!」 《全テ破壊ス魔王ノ砲撃》 放たれる弓(剣)と収束魔術。 それが大気中で接触した瞬間…。 強大な爆発音と共に、辺り一面に熱風と残骸を撒き散らした。 勝てるはずだ。 サーヴァントが人間に負けるはずはないのだから…。 そう自身に言い聞かせても、嫌な予感が止まらない。 それどころか、実戦で培った経験はあろうことか彼女に逃走を命令してくる。 なに? なんなの!? 彼女の混乱は止まらない。 頭には幾つもの疑問符が浮かび上がっては消えていった。 それもそのはず。 アーチャーの相手をしているのは他ならぬアーチャーなのだから…。 英霊エミヤ。 前回の聖杯戦争の折にアーチャーのサーヴァントとして召喚された英雄の名。 魔槍の投擲を弾く楯を持ち、キャスターの防御を易々と貫いた矢を放った出所不明のサーヴァント…。 それが士郎の力だった。 もっとも、正確に言うならば、前回召喚されたアーチャーは士郎の幾つかある可能性の一つに過ぎなかった存在。 当時の衛宮 士郎……その未来の一つの姿が、英霊エミヤの正体。 それでも、今の彼が英霊エミヤと同等の力を持っている事に変わりはない。 そういう意味で言えば、たしかに士郎はアーチャーだった…。
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