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色の世界がセイバーを浸食した時分。
彼のサーヴァントたるアーチャーもまた、その身を戦いに投じていた。
行く手を阻むのは魔術師。
流麗な双剣が、アーチャーを矢継ぎ早に攻め立てる――!
「く……アクセル!」
剣を押し留めながらアーチャーは思考を巡らせていた。
なぜサーヴァントたる自分が人間に足止めされているのか。
有り得ない。
如何に前回の聖杯戦争の勝者とて、あくまで人間レベルのはず。
にもかかわらず、眼前の敵は…!
「I am the bone of my sword.」
《体 は 剣 で 出 来 て い る》
詠唱。
その後に現れたのは、弓…?
剣士は弓を構えその手に螺旋剣を作り出した。
瞬秒の後、造り出した矢(剣)を弓の絃にかけ…。
「偽・螺旋剣Ⅱ…!!」
《カラドボルグ》
空間そのものをねじ切るかのような一矢が放たれる――!
対抗するため、アーチャーもまた己が魔力を収束させ…。
「ディバイン・バスタァァッ!!」
《全テ破壊ス魔王ノ砲撃》
放たれる弓(剣)と収束魔術。
それが大気中で接触した瞬間…。
強大な爆発音と共に、辺り一面に熱風と残骸を撒き散らした。
勝てるはずだ。
サーヴァントが人間に負けるはずはないのだから…。
そう自身に言い聞かせても、嫌な予感が止まらない。
それどころか、実戦で培った経験はあろうことか彼女に逃走を命令してくる。
なに?
なんなの!?
彼女の混乱は止まらない。
頭には幾つもの疑問符が浮かび上がっては消えていった。
それもそのはず。
アーチャーの相手をしているのは他ならぬアーチャーなのだから…。
英霊エミヤ。
前回の聖杯戦争の折にアーチャーのサーヴァントとして召喚された英雄の名。
魔槍の投擲を弾く楯を持ち、キャスターの防御を易々と貫いた矢を放った出所不明のサーヴァント…。
それが士郎の力だった。
もっとも、正確に言うならば、前回召喚されたアーチャーは士郎の幾つかある可能性の一つに過ぎなかった存在。
当時の衛宮 士郎……その未来の一つの姿が、英霊エミヤの正体。
それでも、今の彼が英霊エミヤと同等の力を持っている事に変わりはない。
そういう意味で言えば、たしかに士郎はアーチャーだった…。
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