第六章~自身の在り方~

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そもそも、何故こんな状況になったのか。 何故、アーチャーと士郎が戦わねばならないのか…。 それは、およそ15分前に遡る。 ………… …… … 「ぇ?」 彼女が最初に感じたのは悪寒だった。 まるで丸腰のまま竜と対峙したかのような絶望感…。 そして、ざわつく心。 一瞬、敵サーヴァントが現れたかと思ったが……違う。 そうなれば、彼女が思い付くのは一つだ。 つまり、マスターである色の危機。 あのマスターの事だ。 また何か危ない橋を渡ってしまったのだろう。 衛宮邸で与えられた洋室から飛び出し、必死に彼を探した。 そして、彼女が直感を頼りに道場への廊下を急ぐ最中…。 「投影……開始」 《トレース・オン》 「ッ!?」 双剣を構えた衛宮 士郎が、そこにいたのだ。 「どいて下さい!色くんが…」 「ああ、知ってるよ」 「え…?」 アーチャーの混乱はここにきて最大になったと言っていい。 彼は今何と言ったのか。 色の身に危険が迫っていることを知っていると言ったのか? ならば何故、彼は邪魔をする? 色は彼の孫じゃないのか? 様々な疑問符が浮かぶ中で、鍛冶師(魔術師)が答えた。 「あいつは今お前の為に戦っている。お前と戦う為に……道を示す為に戦っているんだ」 「それは…どういう――?」 「……あいつは万人を守るより、一人を守る道を選んだ―――ただそれだけの事だ」 「でもこのままじゃあ…!」 アーチャーが一歩踏み出そうとした刹那。 「それ以上は進むな!!」 「ッ!?」 魔術師の言が、弓兵をその場に縫い止めた…。 ・ 「それ以上前に出れば、俺はお前を討つ」 「……………」 状況が飲み込めない。 ただ、アーチャーにとってそんなことは些末な事だった。 彼女にとって大切なのは、マスターを守る事なのだから…。 迷わず、一歩踏み出した瞬間。 「ッ!!」 双剣を携えた魔術師が、一気に踏み込んで来たのだった。
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