410人が本棚に入れています
本棚に追加
自身の間合いまで滑るように接近し、左右から双剣を走らせる。
狙いは肩と足。
斬り裂かなくとも、少しの間行動が出来なくなればそれでいいのだ。
仮に無理矢理動くようなら、そのまま自身の世界に閉じ込めればいい。
「どうして…！」
防ぎながら、なぜこんな事を？と問うアーチャーを無視して双剣を持つ手に力を篭めた。
――なぜだと？
それが分からないお前じゃないだろう？
色がなぜ命を懸けてまでセイバーに道を示しているのか……お前なら分かるはずだ。
展開された防壁を破れず、一旦距離を離した。
アーチャーは杖を構えるだろう。
士郎の思惑通りに、アーチャーは手に持つ杖を構える。
真名展開から発射までのタイムラグは約１秒……収束魔術と誘導魔術を同時に扱えるのかは知らんが…。
「遅いッ！！」
「ぅッ…！」
急速に距離を詰めての蹴り上げがアーチャーの鳩尾に入った。
よろけるアーチャーだったが、彼女も伊達に英雄と呼ばれた訳ではない。
収束魔術を地面に向けて放ち、即座に後方へと飛び退いて体勢を立て直す。
そしてお前はまた杖を構える。
狙いはさっきから上空を飛び回っている誘導魔術の制御と、収束魔術での牽制か？
「ディバイ…」
「鶴翼、欠落ヲ不ラズ…！」
《心技、無欠にしてばんじゃく》
投げる。
左右から同時に、それぞれ最大の魔力を篭めて投擲する。
狙いは敵本体ではなく、上空から士郎を穿たんとする誘導魔術。
弧を描きながら飛翔する双剣は、地上スレスレの高さから急激に上空へと飛び上がる。
「ッ！？」
吸い込まれるかのように曲がりながら飛翔する干将・莫耶は、いとも容易くアーチャーの誘導弾を全て斬り裂いていく。
これで無刀…。
無防備になった士郎を狙い、アーチャーは収束魔術を放たんと穂先を向けた。
自分から突貫する。
「――凍結、解除」
《フリーズ アウト》
「同じ武器を…！？」
それよりも早く、アーチャーの懐へと入り込んだ。
だが、士郎の双剣ではアーチャーの守りは崩せない…！
最初のコメントを投稿しよう！