第六章~自身の在り方~

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アーチャーもそれは分かっているのか…動揺することなく前方に障壁を展開させた。 刃と障壁とが接触する直前、 「心技 泰山二至リ」 《力 山を抜き》 有り得ない方角からの奇襲があった。 「なッ…後ろから…!?」 これにはアーチャーも焦りを隠せなかったのか、急いで自身の後方へと手を回し、2つ目の障壁を作り出す。 障壁の抵抗を受け火花を散らしながら、その場に停滞する後方の干将。 だがまだ終わらない。 防御に専念したせいで動きの取れないアーチャー目掛けて莫耶を振り落とす…! 「くぅ…!」 防がれる。 叩きつけた莫耶は障壁を崩せずに瓦解した。 流石はサーヴァント。 背後からの奇襲と、全力で放った斬撃を敵は防いだ。 加えて、斬り抜けられない強固な防壁…。 人間では勝てない存在だと否が応でも実感した。 ――だが。 「心技 黄河ヲ渡ル」 《剣 水を分かつ》 その程度では…! 「まだ来る…!?」 二度背後から飛来する莫耶。 言うまでもなく、それは投擲し、誘導弾を斬り裂いた一度目の双剣だ。 干将・莫耶は夫婦剣。 その性質は磁石のように互いを引き寄せる。 つまり、干将が手にあるかぎり、どこへ行こうが莫耶は士郎の手元に戻ってくるという…。 「っ…!」 莫耶を避けるためにバランスも何もなく、飛び退いたアーチャー。 その、これ以上ないほどの隙へ干将を叩き付け…。 「まだ…!」 だが遅かったらしい。 干将が届く前にアーチャーは防壁を展開しきっていた。 再び砕け散る干将とバランスを保てずに背中から倒れ込むアーチャー…。 ――それではまだ足りないッ!! 「唯名 別天二納メ…!」 《せいめい 離宮に届き》 「――――――」 アーチャーの表情が凍り付く。 それはそうだろう。 なぜならカラであるはずの士郎の手には…。 「両雄、共二命ヲ別ツ!!」 《我ら 共に天を抱かず》 三対目の双剣が握られていたのだから…。
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