第六章~自身の在り方~

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≪Another view セイバー≫ どれほどの時間が経過したのか…。 闇に響き合う剣戟は止まる事なく、まるでよく出来た管楽器のようにその音色を奏で続けていた。 風を切る音と同時に首筋へと淀みなく走ってくる刃をいなす。 既に彼の目が見えているのかすら怪しい状態にも関わらず、その刃は曇ることを知らないかのように矢継ぎ早に攻め立ててくる。 「―――――――」 聞き取れぬ声。 既に彼の声帯は使い物にならないのだろう、まるでノイズでも発しているのかと疑いたくなる中で…。 ――戦うと誓った…。 例え全てを失って、その果てに求めた物や自己の救いが一切なかったとしても。 その瞳が、真っ直ぐにそう告げていた。 それに気付き、思わず苦笑いが浮かんだ。 貴方は知らないでしょうね…。 貴方は私に憧れてくれましたが、私はむしろ貴方のその在り方にこそ憧れていた。 貴方はいつも真っ直ぐで、どんな事にだって一生懸命だった。 ……私とは違う。 私はただ王としての責務を全うすることにだけ傾倒し、その果てに後悔してしまった……弱い人間です。 「ッ!!」 振るう剣戟は双方がまるで引かれ合うようにぶつかり合い、弾かれる。 だが驚きはない。 色の一太刀は既にサーヴァントのそれと同義なのだ。 おそらく、この結界の所為だろうがそれでも今の彼が強敵なのは紛れもない…。 いや、違う。 彼以上に強敵なのはその瞳だった。 まるで全て見透かされているかのような、あまりにも真っ直ぐな、その…。 「ッ!?」 「―――!!」 一際大きな剣戟の音。 互いの渾身の一撃は相殺され、その反動で両者は数mほど押し下げられた。 ゆっくりと彼の姿を目に焼き付ける。 これから先、何が起きても彼を忘れぬよう……彼という誇りを抱くように。 「強くなりましたね……いえ、貴方は始めから強かった」 「――――――」 「……これで、終わりにしましょう」 呟くと同時に、聖剣を握る五指に力を籠める。 願わくば、我が聖剣の煌めきが貴方の征く道を照らさんことを…。 輝く。 この静謐な闇夜において尚、聖剣は太陽の如き煌めきを放った。 導くは一点。 貴方の道を私が切り開きましょう――! 「エクス……!」 ≪約束された…≫
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