第六章~自身の在り方~

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それは、まさに太陽の如き煌めきだった。 放つ光は、彼女という高貴な存在そのもののよう。 避けなければ…。 そう思うのに、体は動かない。 まるで彼女と聖剣の煌めきに魅入られたかのように、視線は釘付けにされ、体は脳からの命令に背く。 「――――――」 刹那、セイバーが何事かを呟いたような気がしたのは、あの煌めきが見せた幻覚か…。 彼女は厳格な顔のまま、威風堂々と聖剣を振り上げ、 「エクス…」 ≪約束された≫ その真名を以て、 「カリバァァァーッ!!!」 ≪勝利の剣――!≫ 究極の斬撃を展開させる――! 黄金の斬撃は帯となり、空間ごと斬り裂かんと飛翔する。 ならば俺は死ぬだろう。 あんなものは人間が防げるものじゃない。 加えて、俺の魔力残量も結界の維持に回した為に僅かしかないのだ。 唯一勝ち目があるとするならば…。 「安綱…」 呟くと同時に、斬撃は俺の頭上を越え………俺ではなく、固有結界を吹き飛ばした。 訳も分からず、唯一無事な右目でセイバーを見やる。 なぜ“わざと”外したのか? 「……思い出しました」 ポツリと、聖剣を振り抜いた格好のままセイバーが呟き、次いで顔を上げた。 穏やかで、晴れやかな表情。 「私の誓い。貴方が生まれた時に誓った……アーサーではなく、アルトリアとしての誓いを」 「………ち……か…い…?」 絞り出したような声に、セイバーは頷く。 「貴方を守り、貴方を導き、貴方の往く道を照らす。――私はそう誓ったのです」 「――セ……イ、バー」 ゆっくりと、セイバーが歩み寄ってくる。 そこに敵意や殺意は微塵もなく……ここに来てようやく、アーチャーと戦う事をセイバーが認めてくれたのだと理解した。 「自らの信じる道を往きなさい。険しくとも、苦しくとも……貴方の信じる正義を振るいなさい」 「…………」 「その果てに、例え貴方が世界中の人間から疎まれたとしても……私が、私だけは貴方を認めましょう」 瞬間、涙が零れ落ちた。 セイバーの願いを踏みにじって尚、セイバーは俺を信じると言ってくれたのだ。 これ以上の喜びがあるだろうか? こうして、セイバーとの一度きりの果たし合いは幕を下ろしたのだった。
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