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……さて、どうやら間桐の言ってた事は本当だったらしい。
転入生が来る。
しかも美少女の…。
うん、教師に連れられて教室に入ってきた女子は確かに美少女だった。
けれども、外人さんというのは如何なものだろうか?
雪のように美しい銀の髪に赤い瞳。
肌なんかも陶器のように綺麗だ。
……例えるならば人形、だろうか?
精巧に作られた人形のような、ある種の芸術美を彼女はまとっていたのだ。
「転入生のイリヤスフィール・フォン・アインツベルンさんだ。日本にはまだ慣れていないらしいから、よろしくしてやってくれ」
教師の紹介に続き、イリヤスフィールと呼ばれた女子は一礼して…。
「ドイツからやって来たイリヤスフィール・フォン・アインツベルンです。長い名前なので、イリヤって呼んで下さいね」
瞬間、クラス内から湧き上がる歓喜の声。
なるほど。
たしかに、男子が狂喜乱舞するのも分かる。
しかし、俺は一つだけ気になっていた。
――イリヤスフィール・フォン・アインツベルン…。
その名前は、どこかで聞いたことがあるような気がした。
もっとも、それをどこで聞いたのかは思い出せないのだが…。
「じゃあ、席は衛宮の隣に作っておいたから、そこに座りなさい」
「エミ、ヤ…?」
「はい?」
と…。
どうやら考え込んでいる間にジェットコースターばりの急展開になっていたらしい。
あぁ、置き間違いじゃなかったんだな…この余分な机。
なんてくだらない事を考えている間に…。
「貴方、エミヤっていうの?」
彼女は隣の席に座っていた。
「ああ。衛宮 色だ」
「エミヤシキ?」
「違う違う。それじゃあ笑み屋敷になっちまうだろ……呼びにくいなら色でいい。そっちが名前だから」
「そう……これも因果かしらね」
「ん?」
「何でもないわ。よろしくね、シキ」
彼女が何か言ったようだが、聞き取れなかった。
まぁ、気にするまでもない。
とりあえず、俺は当たり障りなく『ああ』と答えたのだった。
それにしても…。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン……どこでその名を聞いたんだっけなぁ?
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