はじめに

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暑い。もうホント暑い。 右手をうちわ代わりにパタパタと動かしながら、体育館の壇上に立って話をしている校長を見た。 あーもう長いってば。 まだ話してる。 今日は一学期の終業式。 最近やたらと地球温暖化が騒がれ、私の通う学校の体育館も例外なく、それはもう蒸し風呂のごとく暑かった。 汗だくになりながら周りを見回してみたが、やっぱりみんなこの暑さでは校長の話などろくに聞いてはいない。 まだまだ終わりそうにない式に嫌気がさし、『暑い』という概念を捨て去ろうと考えた私は、 明日から何して過ごそう……と、全く終業式とは別の次元へ飛ぶことを考えた。 帰宅部で彼氏もいない私には、正直夏休みなんて暇でしかたがなかったのだ。 もちろん真夏の教室で勉強するよりは、クーラーがガンガンに効いた部屋でゴロゴロする方が何倍も幸せだけど…… ってやばいやばい。 クーラーのこと考えてたら、また『暑さ』について思い出してしまった。 私は扇ぐ右手に加え、左手でシャツの胸元を掴むと、風を取り入れるようにパタパタと動かす手を増やした。
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