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だからこそ、
「ごめん、ゼルカ……、僕の責任だ……」
彼は謝る以外に、なにもできなかった。
「謝らないでよ。だいたい、謝る相手が違うでしょ?」
優しい言葉をかけられると、余計に辛くなる。
「僕は……、調子に乗っていた……。早く、ゼルカやペルムも僕のようになってくれって……、調子に乗っていたんだ……!そんな最低な奴なんだ!僕は!」
知らず知らずの内に、涙が溢れ出す。止まらない。
「僕は……!」
音もなく、しかしゆっくりとエマに近付いたゼルカは、彼の涙をそっと拭う。
「男の子が泣かないの。……エマ君、あなたはあなたに出来ることを、精一杯やったわ。それだけで、私たちは充分なんだから、そんなに自分を責めないで、ね?」
「…………」
「ま、それでも涙が止まらないんなら、私が胸を貸してあげるわよ。さ、おいで」
自分よりも年下なのに、そのどこか大人っぽい雰囲気に一瞬、鼓動が高鳴ったが、
「からかうなよ」
すぐに冷静さを取り戻す。
涙は自然と止まっていた。
「でも、ありがとう。元気でたよ」
「そ。良かった」
ゼルカが微笑む。
「お見舞い、行くよ」
「うん。ペルムも喜ぶわ。でも、さっきはああ言ったけど、ペルムに謝らないでよ?あの子、あれで繊細なんだから」
「了解」
苦笑をこぼし、エマは、
(ありがとう、ゼルカ)
もう一度だけ、ゼルカにお礼を述べた。
「まったく……、相変わらず責任感 が強いわね。ま、そういうところ、嫌いじゃないけどね」
エマとゼルカのやり取りの一部始終を見ていたファリミトルは、
(それから、元気にしてくれて、ありがとう)
エマと同じく、お礼を述べるのであった。
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