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ファリミトルとデート
爽やかな朝。
鳥の鳴き声が聞こえ、朝日が昇る。
人々が活動を開始する、一日の起点。
「そんな朝に……」
黒髪をぼさぼさにした少年が、
「なんでファリミトル先生がいるんですか!?」
野良猫も尻尾を巻いて逃げ出す絶叫を、少年、エマ・ナックはあげた。
「敬語は禁止って、言ったはずだけど?」
金髪に銀縁眼鏡の少女、ファリミトル・ラクトは、殊更のように言った。
「まさか……、今日は……」
わなわなと唇を震わせ、エマが訊くと、
「そ、デートの日だよ。朝食は準備してあるから、食べて食べて!」
「はあ……」
深い溜め息を吐くことになった。
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