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新しい悪戯を思い付いた。
「ねぇ、センセイ」
「ん?」
忙しそうにパソコンを打ってたってダメ。ちゃんと付き合ってもらうんだから。
「好きよ、センセイ」
言ったとたんにセンセイが椅子から落ちた。
大成功!
思わず笑っちゃう。
「紫穂?なに、言って」
「大好き」
とびっきりの笑顔で言ったら、センセイ、また信じられないように私を見て。何も考えられずにいるみたい。
「センセイ、返事は?」
「は?」
情けない返事。普段私からこんなこと言わないぶん驚愕の度合いは大きかったみたい。あぁ、もう限界。
「センセイ」
私は、ほうけているセンセイの耳元まで唇を近付けた。
「ハッピーエイプリルフール!」
「・・・」
いつも余裕だったセンセイを、動揺させる。いつも私だけドキドキしてるなんて悔しいじゃない。
「全然ハッピーじゃないんだがな」
「でも、嬉しかったでしょ?」
「・・・➰」
「たまにはこんな嘘もいいでしょ?」
私がそう言って笑うと、センセイは急に真面目な顔になって私を見てきた。
マズイ、やり過ぎちゃったかしら。
「センセイ、ごめんなさ・・・っ」
私の唇を、センセイの唇がかすめた。
「っ、セン、セ・・・!」
「嘘じゃないだろ?」
その笑みはいつもの余裕なセンセイの顔。
「センセイの、ばか」
「今日はエイプリルフールなんだろ?じゃあそれは褒め言葉だ」
「センセイなんて、嫌いよ」
こんなときだけ記憶力がいいんだから。
「それも、嘘・・・」
「大好き」
「サンキュ」
「嘘なんだけど」
「それは本当だろ?」
都合がいいんだから!
そんな思念をわざと触れなくても分かるようにセンセイに送り込む。
センセイは笑って私を抱きしめた。
結局、最後は全部センセイの思い通りって事よね。
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