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酒は人を惑わすと言うけど・・・。
今、俺は一人の男に惑わされているわけで・・・。
酒の匂いが充満している。原因は酔いどれ中の一人の男。
「イギリス、君飲み過ぎだよ。どんだけ飲む気だい、全く」
「へへ~、アメリカ~。も~一本おかわり~」
「って君人の話聞いてるかい!?」
酔っ払っているイギリスはなんとも幸せそうで、かつ無防備極まりない。
だって二人きりの密室。相手は無防備。俺の理性はどこまでもつのだろうか。
「アメリカぁ~さ~け~」
「もう駄目。水持ってくるからそれで酔いを冷ましなよ」
「え~」
イギリスはブーブー言っているが仕方がない。これ以上飲んだくれて無防備になられる訳にもいかないし。イギリスを無視して水をコップに並々とつぐ。
イギリスのところへ持っていくと、イギリスはしょげていた。
ちょっとやり過ぎたかな。
「あ~イギリスごめん。でも本当に飲み過ぎはよくない・・・」
「アメリカって格好いいよなぁ、」
「はぁ!?」
何を言い出すんだよ!
「ちっさい頃は可愛いかったのになぁ、おっきくなったよなぁ」
そう言って、イギリスは俺の頭を撫ではじめた。
どうでもいいけど、『おっきく』とか言わないでほしい。色々マズイから。
「水飲んで早く寝なよ、君」
「あめりかぁ~、」
「なんだい?水だったらここに・・・」
「ちゅ~💕」
動揺で、額をテーブルにぶつけた。痛い。
「イギリス!?君本当に酔っ払いすぎだって」
イギリスが甘えるように俺の膝に頭を預けた。いわゆる膝枕の格好だ。この体制はやばいぞ。
「イギリス、眠いんならベッドに寝なよ、本当に」
「ちゅ~わぁ~?」
「・・・」
イギリスは酔っ払うと本当に手に負えないな、全く。
「なんだよぉ、酒もちゅ~もダメとかアメリカのけち」
けちで言ってるんじゃないよ!
「あめりかぁ~、」
「なんだよ!」
今度は何を言い出すんだ。
「すき~」
「・・・」
一瞬思考が停止した。
「イギリ、ス・・・」
見ると、イギリスは俺のひざで寝息をたてて寝ている。俺は大きな溜息をひとつこぼした。
どうせなら・・・、
「酔ってないときに言ってくれないかい?」
イギリスの髪をくしゃりとなでた。
俺を惑わすのは、君だけ。
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