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「よーし、みんな話を聞いてくれ。今日からこの2年C組の新しいクラスメートになった田中優作君だ。じゃあ優作君、簡単に自己紹介してくれるかな。」
「いきなり名前に君付けって微妙だな!!」
と、心の中で一度ツッコミを入れ落ち着き、オレはありきたりな自己紹介をした。
「みなさん初めまして、田中優作です。よろしくお願いします!!」
「みんな仲良くするんだぞ。じゃあ優作君は一番後ろの…あの右から二番目の空いてる席に座ってな。」
「はい、わかりましたー。」
クラス中からの突き刺さるような視線に圧倒されながらも、落ち着きを装い、指定された席へと向かった。
席に着くと、隣の席のボーズ頭がよく似合っている元気そうな男の子がさっそく話し掛けてきた。
「よっ!!田中優作っていうんだよね!?」
「…さっき自己紹介で言ったばかりだろ!!」
と、心の中で本日二度目のツッコミを入れたあと、返事をした。
「うん、そうだよ。」
「実はオレも田中っていう名字なんだ!!田中良太!!」
つまり、先生が名前に君付けをしたのはクラスに田中が二人いたからで、田中良太がオレの名前を再度確認したのは本当に名字が同じかどうか確かめるためだったのだ。こうゆう小さな偶然がオレはけっこう好きだったりする。一人で勝手に納得していると、田中良太は話を続けた。
「オレ親戚以外で同じ名字の人と出会うの初めて!!」
「えー!?うそー!?オレは今までにけっこう出会ってるよ!!」
「へぇー、なんか同じ名字って嬉しいなー。あ、優作って呼んでいい!?」
「もちろん!!じゃあオレは良太って呼んでいい??」
「もちろん!!」
オレは良太と『田中繋がり』ですぐに打ち解け合え、その日は学校にいる間まるで昔からの友達のようにずっと喋っていた。しかも、家がかなり近いということがわかり、転校初日から一緒に下校する友達にもなった。
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