175人が本棚に入れています
本棚に追加
「禁止ゲームの代償みたいなもんだ。やったのは半年前になるんだけど、なかなか生えてこなくてな…。」
「なんなんだよこれ!?禁止ゲームってなんなんだよ!!」
良太はゆっくりと靴下を履き直した。
「実のところ、やったオレ自身よく覚えてないんだ…。」
「覚えてない??」
「ああ、全くね。」
部屋は心臓の音が聞こえてくるんじゃないかと思えるほど、静かになっていた。
「順を追って説明すると、ある日、先輩の家に遊びに行ったんだ。」
「うんうん。」
「で、途中までは普通に遊んでいたんだけど、突然先輩が禁止ゲームやろうって言いだして…」
『ガチャ』
全く気配がなく、突如としてドアノブを回す音がした。オレと良太はとっさにドアの方を向いた。
「いらっしゃーい。」
「あ、おじゃましてまーす。」
「なんだよ…母さんか…。」
空気を読めない性格は、このような状況においても健在だった。
「なんだよじゃないわよ。せっかくオレンジジュース持ってきてあげたのに!!」
「わかったから早く出てって。」
話の良いところで止められたオレは少し腹が立ち、母さんをすぐに部屋から追い出した。
「ごめん、続きは!?」
「…そっから先は何にも覚えてないんだ。」
「マジかい!?なんだそれ…。」
「気がついたら家の近くの公園のベンチにいて、右足の指には激痛が走っててさ。翌日先輩に何があったのか聞いても知らないの一点張り。」
「意味わかんないな…。もしかして良太の夢とか??」
「バカ言え夢なんかじゃないよ!!証拠に爪がなかったし、今と同じように先輩の家でオレンジジュース飲んでたことも鮮明に記憶してるし!!」
「そうなのか…って、早坂明子はどう関係するんだ??」
最初のコメントを投稿しよう!