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良太はオレンジジュースを口にした。それにつられて、オレはオレンジジュースを一気に飲み干した。
「禁止ゲームのやり方は毎年四月に、学校の生徒の中から一人だけ選ばれ、教えられると言われているんだ。それ以外の生徒が禁止ゲームをやっても、何故かオレみたいに肝心の内容を忘れてしまう。体に恐怖と傷を残してな…。」
「もしかして…今年の一人に選ばれたのが…。」
「そう、早坂明子と噂されているんだ。」
もう片方のグラスも静かに空になった。
「そんなゲームのやり方なんて、教えられてもやらなければいいじゃないかよ!!」
「禁止ゲームのやり方を教えられたのに実行しなかった人間は、死ぬらしいんだ…。」
「そんなの単なる噂だろ!?」
良太の顔は険しさを増した。
「いや、この学校は毎年必ず生徒が重傷を負う。重傷を負わなかった年も何年かあるけど、調べてみるとそうゆう年は生徒の一人が謎の死を迎えるか、行方不明になるかしているんだ。」
「そんな話、信じられるか…。」
お互いに大きくため息を吐いた。
「事実は事実。だから今、早坂明子には誰も近づかない。ゲームのターゲットにされたくないからな。」
「…で、苦し紛れに学校は謎の校則を作ったっていうのか??」
「うん、多分。教師だって禁止ゲームが恐くて、それ以上は関わりたくないんだろ…。」
良太は自分がなんとかしてあげたいという気持ちと、恐怖から来る自分も関わりたくないという気持ちが入り混じっているようだった。そして、さらに話を続けた。
「結局ほとんどの人間なんて、自分が一番可愛いんだ。オレも含めてな…。優作も関わらない方がいいぞ。」
こんな話の後じゃ楽しく遊べないと思ったのか、良太は話し終わるとすぐに帰った。オレも一人で考えをよく整理したかったので丁度よかった。しかし、時間は無情にも淡々と過ぎていく。
オレは気づくと眠っていた。
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