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黒のジャージとTシャツをだらしなく着こなし、金色に近い頭は寝起きのようにボサボサの細身の男、アキラの弟シンジ(23)が、見るからに不機嫌そうに玄関先に立っていた。
シンジを見た途端、僕は身を竦めて慌ててその場に正座した。
僕なりの何もしてませんアピールだ。
一方僕を追いかけ回していたナツは、より一層眉間の皺を深めて、シンジに負けない程に不機嫌そうにシンジに睨みを効かせている。
この二人は、我が家切っての天敵同士。
二人が揃って、ケンカにならなかった事がない程。
僕やマナカ達がハラハラと見守る中、睨み合う関係に先陣を切ったのは、ナツだった。
「何であんたがいんの?仕事だろ?」
「あ?俺は休んじゃいけねーのかよ。さっきからうるせーんだよ、オメーら。こっちは寝てんだよ」
「は?知るかよ。今何時だと思ってんの?寝てる時間じゃねーだろ」
二人は、目に見えるような火花を散らして威嚇し合う。
シンジは仕事でホストをしている。
その為、生活リズムは基本皆と真逆なのだが、自分の家庭の事情に一番コンプレックスを持っているナツには、「ホスト」と言う時点で、シンジが気に入らないようだった。
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