アヤカ

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シンジは怖い。 アキラもナツも怖いけど、シンジは別の意味で怖かった。 ナツは良く、シンジを“父親”に1番似てると言っていた。 それが原因で、シンジは一度本気で女の子のナツを殴り飛ばし鼻を折った事がある。 アキラがすぐ止めに入ったけど、あれを見て以来僕は、この二人が仲良くなる事はどうしても想像できないものになった。 二人が睨み合っていれば、隣の部屋から怒声が飛ぶ。 アキラだ。 興奮したようなアキラの声に、シンジがナツから目を離した。 基本我が家では、大小合わせて毎日のように兄弟喧嘩が起きているが、今日のアキラの怒鳴り声に、何時もと違う激しい怒りを感じるのは、きっと僕だけじゃないのだろう。 「……アイツが来てる」 ナツの言葉に、一気にシンジの瞳が例えようもない程鋭く怒気をはらむ。 入って来た時同様、激しく玄関の戸を開け放つシンジに、マナカが叫ぶようにそれを止めた。 「ちょっちょっと!変な事しないでよ!ソラとウミが怯えてるの!見て分からないの!?」 ソラとウミだけじゃない……。 叫ぶマナカの声も、所々裏返り震えていた。
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