6人が本棚に入れています
本棚に追加
気がつけばもう空は茜色に染まっていて、もうすぐ日が暮れることを知らせようとしていた。
「やばっ!ちょっと今日洗濯物当番誰だっけ?アキ兄帰る前にやらないとめっちゃ怒られるよ~」
「僕じゃないよ!」
『……』
慌てて駆け出すウミの後ろを追い掛けながらも言えば、ハタっとウミとソラが考え込むように無言になる。
『ユースケでしょっ!!』
さすがわ双子というべきか、打ち合わせもなく見事に被せてくる。
「何だよ。覚えてるなら『誰?』とか言わないでよ……」
あわよくば洗濯当番を逃れようと考えていた僕は、頬を膨らませて二人に批難がましい目をやれば、間髪入れずにウミから小突かれる。
「痛てっ…!ウミきらぁーい!」
「うるさいっ!」
河原から道路に出て、橋を渡った先の坂道を登った所に、僕らが住む築30年はする古いアパートがあった。
一階に三部屋ある1DK三階建てアパート。
僕らのお父さんの親戚が大家をしていて、僕らに無料で三階の三部屋を貸してくれていた。
異変はアパートが見えてきた辺りから、既に感じていた。
最初のコメントを投稿しよう!