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「ねぇ、何か廊下でしてるよ?」
走りながらソラが指差すアパートの三階を見れば、そこには外に面した廊下にワラワラと出ている兄妹達だった。
アパートが目前に差し掛かれば、三階の右角の部屋に位置するアキラ家族がすむ部屋の様子を伺っているのがわかる。
「どうしたんだろ?」
その様子にウミと一緒に首を捻りながらアパートの階段に足をかけた。
所々ペンキがはげ、錆びた手摺りは使わず、コンクリートの階段を三階まで駆け上がる。
三階の廊下まで出れば、二人目のお母さんの子供、トウマ(17)が僕等に気づき軽く手をあげた。
廊下にはトウマ以外に、トウマの姉のナツ(20)ウミとソラの姉マナカ(15)。
そして僕たちも入れれば、僕等の兄弟は大半がこの狭い廊下に集結している形になる。
「何やっ…」
「しっ!」
この不思議な事態にいたってありきたりな質問をしようと口を開ければ、ナツが自分の口に人差し指を当ててそれを制した。
いまいち事態の飲み込めない僕らの頭はハテナマークで、三人で顔を見合わせればマナカが気を使ったようにコショコショと話しはじめた。
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