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「お父さんが来てんの」
「お父さんがっ!!」
「バカッ!」
「い゛っ…う゛ぅぅ~……」
あまりに意外な言葉につい大きな声をあげて反応すれば、直ぐにマナカのゲンコツが頭に飛び、見事に僕の脳天にHITして僕はあまりの痛さに頭を抱えて悶絶する。
お父さん……
僕にとっては五年ぶりに聞く言葉。
僕たちの家では基本親の話しはタブーだから。
普段話しをしないせいか、「父」と聞けば動揺はウミとソラにも広がる。
気の弱いソラは、ウミに不安そうに寄り添い、双子のくせに正反対の性格をしたウミは眉間にシワを寄せて厳しい表情を作っていた。
そう言う僕は、嬉しい気持ちと喜ぶことを許さない理性が入り交じって、とても複雑だった。
明らかに青ざめ震えるウミとソラの様子に、マナカは部屋に戻ろうと二人を促す。
僕たちはお互いの過去をあまり知らない。
本人が喋る事はあまりなく、他の兄妹から間接的に聞くことの方が多いし、何よりこの家に来る前の事を話すこともあまり我が家では好まれていないから。
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