プロローグ

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その人は、腰まである長いさらさらの黒髪をたなびかせ、少しお姉さん風を吹かせていた顔で俺を見ていた。 「道に迷ったから道を聞くんだもん。だからお礼何ていらない~」 「あ、そっすか…」 駄目だ…元から人見知りもあるせいか、まともに話が出来ない! 「いや~今日引っ越して来たばかりで…全っぜん道分かんないんだもん!」 それから、彼女を家まで送る間に、名前だけは知ることが出来た。 「新谷美紀…か。いくつくらいなんだろ。年上っぽいけど」 家に帰り、自分の部屋で、ベッドに横たわりながら、色々話せなかったことを懺悔(ざんげ)していた。 翌日、目が覚めると、俺の携帯には一件のメールが届いていた。 沙耶からだ。 内容は、今日は一人で学校に行く。待ち合わせ場所で待たなくていい、と。
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