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「だから、本当にありがとう」
「……なんか、真顔でそんなこと言われると照れちゃうね」
「だって、本当のことだし」
少女は直球過ぎる少年の言葉に、頬を染めた。
「そろそろ、帰ろうか。あんまり遅くなると、泉ちゃんの家族も心配するだろうし。僕も弟が待ってるからね」
「そうだね」
話に夢中で気がつかなかったが、いつの間にか、空が夕日に染まっている。
「じゃあ、また」
「うん」
家が逆方向なので、二人はいつもこの河川敷で別れることにしている。
「泉ちゃん!!」
自分の家に帰ろうと歩き出した少女は、今まで聞いたことがないような鋭い少年の声に足を止めた。
振り向いた少女が見たのは、突っ込んできた乗用車と自分を突き飛ばした少年の顔だった。
次の瞬間、身体に強い衝撃を受け、少女は意識を失った――。
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