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――ただ君が、微かに笑った事に驚いた。
今まで大粒の涙を流していた君が無邪気に一瞬、そう…一瞬だったけど確かに笑ったんだ。
それだけで、俺には彼女を好きになるには十分で…
一目惚れだった。
――彼女は俺に総てを話してくれた。今日、最愛の人達を失ったこと。 昔の事、今までにあった事の総てを…。
帰り際に、彼女は
『こんな事を人に、ましてや初対面の人に話したのは初めて』
だと薄く微笑んだ。
心なしかその瞳が不安に揺らいだ気がしたが、俺は一言
『大丈夫』
とだけ告げ病室を後にした…。
――それから、彼女とは逢っていない。
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