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メルセンが18歳の時だった。
その頃のメルセンにとっては何をしても空虚な時間と、生きている事への疑問と苦痛、全てが絶望感に打ち拉がれていた時期であった。
だが、彼にとっては予想だにしない幸運が訪れたのである。
何時ものようにメルセンは、悪友等と馴染みのバーで、浴びるように酒を飲んでいた。
そこはギャングの溜まり場となっていて、一般的な良識を持つ者は足を踏み入れないようになっていた。
隣に座る悪友がメルセンに顔を寄せ
「おい、メルセン!、あの女どう思う?」
瞼にいかつい蠍のタトゥーを入れたマッドが、ビールの小瓶を口に当て 声をかけてきた。
荒んだメルセンには人を陥れる事しか頭に無く、そんな中でも女はただの小道具。
メルセンが訝しげに、目に入った女は目と鼻の先にいた。
若い男と楽しく酒を口にしていた。
彼氏かと思えたが、会話も何故か2人ともぎこちなかった。
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