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俺は意地悪を思いついた。
『それ加えたまま息吸え』
え?とたじろぐ柳。
けれど言った通りにし始めたので
すかさずライターで煙草に火をつけた。
!!
『ケホケホッ』
好奇心と素直さが仇となったな。
笑いを堪えて、柳が落としそうになった煙草を取り上げた。
窓辺に行って吸いながら
『お前も吸ったから共犯だなぁ』
とか言ってみた。
『なんでよ~…』
柳は苦そうに舌を出した。
なんて愉快なんだ。
吸い終わって
そろそろ帰るかと扉へ近づくと
呼び止められた。
『ねぇ…いつもどこで聴いてたの?』
振り向くとピアノからひょこっと頭を出している柳。
『あー。屋上だよ』
そう言って扉を開けた。
『あの』
柳はそれから下を向いて黙りこんで
なんだと待っていると
俺を見て言った。
『嫌でなければ、もっと近くで聴いててよ』
笑ってしまった。
驚いて嬉しくて
柳の真っ赤な顔が可愛すぎて。
お前が懸命に守った
この時間の中に
俺を許してくれるのか
まぁ、コイツにとって
俺みたいな奴でもちゃんと友達らしい。
今はそれも悪くない。
『おー。』
少しの照れを隠しながら
音楽室を後にした。
明日からが楽しみだ。
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