耐える事

2/4
前へ
/63ページ
次へ
朝学校に行くと 下駄箱の中に濡れた上履きが置かれていた。 水が漏れないようにご丁寧に雑巾まで敷かれた状態で。 教室に入って自分の席に行く時に 足をかけられた。 派手に転げて手をついたときに熱いような感覚がしたかと思ったら右手が踏まれていた。 『折れちゃえ』 体重をかけてじりじりと踏みつける。 ようやく足が離れた時には手は真っ赤に腫れていた。   席につくと数人に囲まれて屋上に連れて行かれた。 その時水の入ったバケツも持たされた。 屋上につくと外は雨。 扉の外側に一人立たされた。   『北河くんとどんな関係?』 そう訊かれたけど 何も答えられなかった。 すると持っていたバケツをひったくられて頭からかけられた。 なるほど、この為か。妙に冷静な頭でそう思った。 『シカト?』 『…どんな関係でも無いよ』 やっとそれだけ言うと、笑われた。 『そうだよねぇ。迷惑かけないようにしなよ?北河くんはうちの彼氏の大事な友達だからさ。』 『意味わかるよね?』 耳元で言われて気持ちが悪かった。 体が寒さに震えてきた時、ブレザーをはぎとられた。   『色々反省したいだろうから一人にしてあげる』 その言葉を残して扉は閉まった。 カチャンという音に 内側に鍵がついていることを知った。 初めての屋上が、これかぁ。   シャツ一枚の濡れた体に 雨は容赦無く降り注ぐ。 一応屋根はあったけれど、扉の外側に気休め程度にあるだけで 雨を避けるような場所はないに等しかった。 
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加