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名前を呼ばれて、あっちも少し驚いたようだった。
『あ…えと…北河…くん?』
なんだかちょっとビビった様子で返事をしてきた。
まぁ仕方ないか、俺怖いだろうしな。
それより、やっぱり泣いていたようだ。
鼻をぐすぐす言わせながら、赤い目を隠すようにしきりに手を当てている。
普通にバレてるけど。
『どうしてここに?北河くんも、ピアノ弾くの?』
まさか。柳の天然さに少し笑った。
『お前、いつも静かな曲しか弾かないだろ。今日なんか違うし、なんか気になった。』
柳が驚いたように俺を見た。
あ、やっぱり可愛いなこいつ。
いやそれより今の発言はいかにもいつもきいてます的じゃなかったか?いや聴いてるけどな。って開き直る俺危なくないか?
『北河くんって、意外と可愛いね』
考え込む俺に柳がへらっと笑って言った。
『…意味分からん』
そう言ったらまた笑った。
『で、何かあったのかよ。』
なんでこんな事訊いてるのか自分でも不思議だったけど、多分こいつに惹かれたんだろうなと他人事のように思った。
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