凸凹

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柳はちょっとごめんと言って鼻をかんだ。 それがおかしくて笑うと柳も笑った。   柳はきちんと座り直すと、ピアノを弾き始めた。 近くで聴くとまた違う感じがする。 邪魔しないように柳の後ろにある窓辺へ回った。 座ると柳の足がペダルを踏むのが見えて ピアノを弾く奴はすげぇ なんてアホな事を思った。   あぁ、居心地がいい。 誰かの傍に居てこんなに安らいだのなんて 他に覚えがない。 目を閉じると 暗い世界に旋律だけが響いた。   もうさっきのような激しさはない 歌声みたいな優しい音   俺はそのまま眠りについた。
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